薬剤師の仕事 薬剤師の将来

AI化、ICT化で薬剤師がなくなる?本当なの?

2020年6月11日

AI時代で薬剤師はどうなる

AI化ICT化薬剤師の仕事がなくなるってホント?

AI化ICT化になったら薬剤師の将来が心配です。

 

最近AI技術の発達ICT技術の発達を感じ、次のように悩んでいる人がいます。

 

はてな

AI、ICTによって薬剤師の仕事がなくなる?

AI時代、ICT時代で薬剤師の将来性はない?

将来性がないなら薬剤師にならない方がいいのでは?

この悩みに回答します。

 

この記事の信頼性

だだの
薬剤部長

薬剤師歴20年目!(2021年時点)

大学病院薬剤部13年勤務

現在は、民間病院の薬剤部長をやってます。

部長歴6年

大学病院時代、医療情報担当を8年(兼務)。

医療システム構築は、部長になった現在もやってます。

プロフィール

 

「AI化、ICT化によって薬剤師がなくなる」という記事はいろいろ出てますね。

それを見聞きして不安になる、若手薬剤師、薬学部生、高校生などがいることでしょう。

 

ただ本質を理解してないと、漠然とした不安を感じるだけで全く意味がありません。

 

この記事ではそんな不安を抱えている人に向けて、

AI化、ICT化で薬剤師はどうなるのか?

AI化、ICT化の真の目的は何か?

について解説してます。

 

最後まで読んでいただければ、AI化、機械化を進める本質が理解でき、「これから薬剤師はどうなっていくのか」、についての理解が深まります。

 

AI化、ICT化で薬剤師はどうなるのか?

AI化で薬剤師はどうなる?

AI化、ICT化で今後薬剤師はどうなるのか?

 

結論から言います。

ここ20~30年薬剤師は無くなりません。

ただし「今までの薬剤師」は無くなります

 

この一瞬矛盾に感じる、AI化、ICT化で薬剤師は無くならないけど「今までの薬剤師」は無くなる、の根拠を次の項目

  • 薬剤師がなくならない3つの理由
  • そもそも薬剤師業務のAI化、ICT化の目的は?
  • 薬剤師業務で進むAI化、ICT化の現状と未来
  • AI化、ICT化をすすめる真の目的
  • 「今までの薬剤師」がなくなる理由

で解説していきます。

 

それでは始めます。

 

薬剤師がなくならない3つの理由

薬剤師が今後20~30年無くならないと理由は次の点。

 

  • 薬剤師が国家資格であるから
  • 「病気」という無くならない「資源」があるから
  • 政治団体があるから

 

「なんだそれ」と怒りましたか?

スミマセン。

説明します。

 

薬剤師が国家資格であるから

薬剤師は法律によって定められている国家資格です。

つまり国がその資格を保証してます。

したがって「薬剤師がなくなる」ということは、この国家資格がなくなること

なくなるまでには法改正などが必要です。

 

「病気」という無くならない「資源」があるから

薬剤師は「医療サービス業」です。

言い方は悪いですが、「病気をもった患者」が収益源となります。

病気」、「薬」が完全になくならい限り、仕事内容が変わったとしても薬剤師の仕事は存在します。

 

政治組織があるから

日本薬剤師会日本病院薬剤師会ともに、それぞれが掲げる理念と政策を実現するために政治組織があります。

もちろん「診療報酬」確保が最大の目的であります。

 

薬剤師の国会議員は衆参合わせて5名

政治力がある限り薬剤師は無くなりません。

 

このような3つの理由から薬剤師は少なくても20~30年は無くならないと言えます。

 

ただぶっちゃけ20~30年先を正確に予想できませんけどね。

30年前にこんなネット社会になり、スマホ普及する社会になるとは思いもよりませんでした。

 

したがって私が想像しているよりも、遥かに凄いAI社会になっている場合、どうなっているかわかりません(笑)

ただ薬剤師がAI技術向上によって消滅しているなら、他の職種はどうなのさ?というところです。

 

少し話はそれましたが、「薬剤師」という資格は無くならいので、安心して薬剤師を目指してください

 

そもそも薬剤師業務のAI化、ICT化の目的は?

さて、AI化、ICT化薬剤師がうんぬんかんぬん言われて、不安になっている人。

そもそも薬剤師業務でのAI化、ICT化の目的を理解してますか?

ここをしっかり理解していないと、ただ「大変だ!どうしよう」と慌てるだけです。

 

では説明します。

 

薬剤師業務のみならず、業務のAI化ICT化の目的は次の点。

  • 効率化
  • リスク軽減
  • 標準化

になります。

 

効率化

病院薬剤師の業務って実はすごくたくさんあります。

(詳しくは病院薬剤師の仕事って何?薬剤部長が17個のお仕事教えます

また調剤薬局では多くの院外処方箋の調剤・記録作成をはじめ様々な業務があります。

 

それら多大な業務を人力のみだけでこなしていると、すごく時間がかかり労働時間が長くなります

また調剤においては、薬を渡す「患者」がいます。

患者の「待ち時間を減らす」ことは、サービス業として当然追い求めなければなりません。

 

業務時間の軽減、サービスの向上。

そのための業務の効率化ICTに求めてます。

 

リスク軽減

薬剤師業務を扱うため、ミスをすると患者に重大な健康被害を与えます。

 

主なミスとして、投与量の確認不足、調剤時の薬品の取り違え、散薬、水薬の秤量計算の間違え、併用薬の確認漏れなど、ミスが起こりうる場面はたくさんあります。

このちょっとしたミス大きな健康被害、最悪死に至るケースも過去には何度もあります。

 

このリスクを軽減、なくすことAI、ICTで求めてます。

 

一言だけ言わせてください。

ICTに頼らずとも薬剤師は多くの仕事を、限りなくミスをしないで行ってます。

また薬剤師は従来より「疑義照会」などで、医療におけるリスク回避に非常に貢献してます。

評価は見えにくいのですが。

参考)日本薬剤師会委託事業:平成27年度全国薬局疑義照会調査報告書

 

ただ万が一のミスが重大事故になってしまうのが薬剤師の仕事命に係わる仕事です。

 

標準化

1年目でも10年目でも患者にとっては薬剤師

薬剤師の知識、経験の差が患者の不利益になってはいけません。

そのためICTによって誰がやっても同じような業務になる、業務の標準化を目的としてます。

 

このように薬剤師業務におけるAI化ICT化、は、効率化リスク軽減標準化を考えて構築してます。

これは実際に学会等でICT化、システム構築の発表が行われる際は、「目的」に必ず含まれています。

 

作業効率が上がって、リスク下がって、だれでも同じにできる

したがって私は薬剤師業務がAI化、ICT化するのは大歓迎で、むしろもっとガンガン発達し、普及して価格が安くならないかな~と思ってます。

 

なお、「薬剤師以外が調剤できるの?0402通知を徹底解説」でも書きましたが、国としても薬剤師業務のICT化をすすめていくのは妨げないと言ってますので、ICT化はどんどん進むはずです。

 

薬剤師業務で進むAI、ICTの現状と未来

薬剤師業務のAI、ICTの過去

私が勤め始めの頃は、かろうじて薬袋、処方箋が自動で印刷されるようなりました。

すんごい専用ロール紙をゴッツイ「薬袋作成機」にはめ込んで。

まだまだ手書きで処方箋作成、薬袋作成をしてた施設が多かった。

散薬もやっと電子天秤。

 

6年制出身の方々には想像できない世界ですね

 

薬剤師業務のAI、ICTの現状

ここ数年でICT化は一気に進みました

 

自動散薬計量、自動水薬計量、自動錠剤取り揃えなど、今まで人が行ってきた作業の多くが機械でできるようになってきました。

ただまだ価格の問題、スペースの問題等で普及はこれからでしょうけど。

 

また処方箋の投与量チェック、アレルギーチェックなどのチェック機能

調剤済みの薬剤のチェック機能など、リスク軽減の機能も充実してきてます

 

そして2020年9月解禁のオンライン服薬指導

ますますICTの需要が高まってます。

 

ちなみにオンライン服薬指導は、コロナ感染拡大の影響で時限的な特例措置で解禁になってます。

このオンライン服薬指導、そして改正薬機法に関しては別で。

 

AI化に関しては、まだデータベース構築中って感じですね。

 

薬剤師業務のAI、ICTの未来

ICTの未来として、もうすでに実現されそうなところとしては次の点。

いや実現してるかな?

 

電子処方箋をうけると、処方箋監査、錠剤調剤、散薬、水薬調製機器が自動的に動き出し、出来上がったものがトレーにセットされる。

そのトレーに入ったものを機械が全部確認を行う。

薬剤師は最後の確認のみ。

完全自動化

 

患者は各病院のIDと紐づけられた共通IDをもち、各病院での検査データ、画像データ、アレルギー、投薬情報はすべてセントラルで一括管理(これは地域によってはある)。

もちろん薬局での処方箋監査はそのデータを判断し行われる

 

AIに関しては、患者からの問診情報、患者の検査データ、基本データを、蓄積された膨大なデータから判断分析して、副作用の可能性、対策の提案する

患者の質問に対して、AIが判断し最適な回答を行う

ただどちらかというと、AIが役に立つのは薬局よりも医師側の方が多いと思いますが。

 

これら情報が薬歴に反映され、セントラルのデータベースに蓄積。

 

こんな感じですか?

未来については思うところがたくさんあるので、話はまだまだいくらでも膨らませられますが、長くなってしまうので機会があったら別にまとめます(笑)。

 

AI化、IC化をすすめる真の目的

先ほど薬剤師業務でAI化、ICT化をすすめる目的について話しました。

 

しかしAI化ICT化をすすめる目的には真の目的があります。

 

真の目的とは

ズバリ

収益の向上

これにつきます。

 

機械代、システム代はタダではないから当然ですよね!

きれいごとをいくら言ってもボランティアでないし、国、地方自治体から費用をもらっている訳でないので収益を上げなければなりません(もちろん公立病院系は別)。

 

病院においては、ICT化によってもともと収益性の低い調剤業務の効率を上げ、薬剤管理指導、病棟薬剤業務実施加算などの対人業務、抗がん剤調製など調剤以外の業務で、収益を上げるために人員をさいて取り組んでます。

実際大学病院等では朝とか夕とか決められた1~2時間に、ほぼ全薬剤師で調剤業務を一気に片づけて、その後はほぼ全員で病棟業務に入るところもあります。

 

薬局においても、対人業務強化、収益向上のためICT化をすすめてます

それは、大手調剤薬局、ドラッグストアの方針を見ればわかります。

 

AI化で薬剤師はどうなるか

参照)日本調剤株式株式会社 2020年3月期決算説明資料

 

AI化で薬剤師がいらなくなるのか?

参照)ウエルシアホールディングス株式会社 2020年2月期決算説明会資料

 

例として2社の決算報告説明会資料を上げさせてもらいました。

はっきりと成長戦略にICT化について書かれてます。

 

このように収益向上のために、ICT化をますます進めていくでしょう

 

「今までの薬剤師」がなくなる理由

さてこの話のキモです。

最初に薬剤師はなくならないけど、「今までの薬剤師」はなくなる

と、言いました。

 

では、「今までの薬剤師」とは何か?

それは調剤業務しかできない薬剤師です。

 

なぜ調剤業務しかできない薬剤師がなくなっていくのか?

理由は次の点

  • 求められる薬剤師が変わった
  • 診療報酬が大きく変わる
  • 薬剤師の配置基準が変わる

です。

 

求められている薬剤師が変わった

今までは酷い言い方をすれば、「薬を調剤して渡すだけ」の調剤業務が中心でした。

しかしここ数年「かかりつけ薬剤師」「健康サポート薬局」「薬機法改正」などを通じ、薬剤師はもっと患者に接し、健康管理等に努める、いわゆる「対人業務」をすることを求められてます。

先ほど言いましたように、病院薬局ではすでに「調剤重視」から「病棟業務重視」「対人重視」に変わってます。

調剤薬局にもいよいよ本格的「対人重視」を求められてきてます

 

もちろん「調剤」は薬剤師の仕事ですので、今後もなくなりはしませんが、それだけが薬剤師に求めている事じゃないよという事です。

 

診療報酬が大きく変わる

2020年診療報酬改定では、調剤料の引き下げ、調剤基本料の算定要件の強化など、調剤に対する報酬が引き下げられた一方、かかりつけ薬剤師指導料の増額など、対人業務に対する報酬が上がってます

参考)厚生労働省 令和2年診療報酬改定の概要(調剤)

 

この先さらに調剤マイナス、対人業務プラスの流れは続く・・・いやさらに加速します

 

その理由は

  • かかりつけ薬剤師指導料算定が伸びてない
  • コロナウイルスの影響
  • 日本医師会の会長が・・・

 

この点は別に改めて書きますので、ここではあっさり書きます。

国一押しの「かかりつけ薬剤師指導料」の算定件数が、算定申請を行っている薬局が多いのにも関わらず伸びてません

対人業務強化を国が進めているので、この点はさらに充実させるでしょう。

 

コロナウイルスの影響に関しては、今回経済対策として思いっきりお金を投入しましたね。

なにで回収しますか?

社会保障費の減額ですね。

 

日本医師会の会長は2020年6月に選挙が行われる予定です。

あの先生は薬局、薬剤師大っ嫌いですからね・・・

まあこれは妄想です。

 

したがってこれら条件から、薬剤師の「調剤」に関わる報酬は今後も下がり続けると想定されます。

 

薬剤師の配置基準が変わる

現在薬局では「処方箋40枚あたりに薬剤師1人以上を配置する」と厚生労働省省令で定められてます。

参考)薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令

 

しかし対人業務に人員を割くため、ICT化、機械化が進んできている現状から、この「40枚に薬剤師1人」の配置基準の見直しについて厚生労働省からすでに声が上がってます。

参考)薬事日報:薬剤師の配置基準見直し-宮本医薬局長「一律処方箋40枚に合理性ない」

 

もし枚数の配置基準が撤廃されたらどうなるか?

例)

【規定あり】

1日処方箋400枚 必要薬剤師 10名

【規定なし】

ICT化によって自動で400枚対応可 必要薬剤師1名 調剤補助員3名

これは極端な例で挙げましたが、ICT化がすすむと「調剤」に関わる薬剤師が思いっきり少なくすることも可能となります。

その分、薬剤師を対人業務に回せと。

 

さすがに2020診療報酬改定に合わせてきませんでしたが、国の方針、0402通知、薬機法改正と大きな流れができてますので、近いうちに実施される可能性は高いです

 

このような点から調剤しかできない「今までの薬剤師」は、消えていくことになります。

 

AI化、ICT化は薬剤師の業務変換を大きく加速させる

まとめます。

 

今回「AI化、ICT化で薬剤師はどうなる?」いうテーマについて、

  • 薬剤師がなくならない3つの理由
  • そもそも薬剤師業務のAI化、ICT化の目的は?
  • 薬剤師業務で進むAI化、ICT化の現状と未来
  • AI化、ICT化をすすめる真の目的
  • 「今までの薬剤師」がなくなる理由

の項目で説明しました。

 

結論としては「AI化、ICT化が進むと薬剤師はなくならないけど、今までの薬剤師はなくなる」になります。

ただICT化が進まなくても、国の方針などからすでにもう変わり始める、対策をとらなくてはいけなくなる状況になってきてます。

 

では薬剤師は今後生き残っていくために、どんな対策が必要なのか?

この点について別ページで鋭意作成中ですので少々お待ちください。

 

また2020年9月には薬機法が改正され、一部が施行されます。

最大のポイントである「服薬期間中のフォローアップの義務化」

これは法律で定められた義務です。

ここについても、薬機法改正解説のページを鋭意編集中ですので、少々お待ちください。

 

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