国公立大学薬学部を目指す学生、保護者の方には次の悩みがあります。
はてな
国公立大学薬学部で薬剤師になれないことがあるのか?
4年制の薬科学科に進級した場合就職できるのか?
4年制の薬科学科に進級した時、薬剤師になるにはどうすれば良いのか?
この疑問、悩みにお答えします。
この記事の信頼性
一生懸命勉強して国公立大学薬学部に合格したのにも関わらず薬剤師になれないパターンがあります。
それは次の2パターンで募集されている大学に入学し、薬剤師養成課程の薬学科に進級できない時です。
- 6年制の薬学科と4年制の薬科学科を「薬学部」として一括募集
- 「理系学部」として他の理系学部と一括募集
この2パターンのいずれかで募集している大学の場合は、入学後に学部、学科選択が行われるため、希望通りの学部、学科に進級することができず、薬剤師になる過程にすら進めなくなる恐れがあります。
薬学科、薬科学科を一括募集するパターンの大学は、東北大学、千葉大学、京都大学と北海道大学の一般選抜後期日程。
理系学部を一括募集するパターンは、北海道大学、東京大学と金沢大学の一般選抜前期日程の一部。
この記事では、これら入学時に一括募集を行い、入学後に学科選択を行う大学の、学科選択のタイミング、振り分け先の定員数について解説してます。
最後まで読んでいただければ、入学後に学科選択が行われる大学の情報が把握でき、国公立大学薬学部の進路選択の判断に役立つことができます。
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1.薬学科・薬科学科が一括募集され進級後に学科選択する大学
東北大学薬学部、千葉大学薬学部、京都大学薬学部そして北海道大学薬学部の一般選抜後期の募集は、6年制の薬学科と4年制の薬科学科を一括に募集します。
入学後の学科選択で6年制の薬学科に進級しないと、薬剤師国家試験受験の資格が取れません。
しかしそうと言っても必ずしも希望通りの学科に進めるとは限りません。
この項では東北大学薬学部、千葉大学薬学部、京都大学薬学部それぞれの学科選択のタイミング、学科の定員を解説します(北海道大学は「2.理系分野全体で一括募集され進級後に学部・学科の選択を行う大学」で説明)
なお、全国すべての国公立大学薬学部の募集定員、薬剤師国家試験合格率などの情報に関しては、
国公立大学薬学部の偏差値・学費・薬剤師国家試験合格率・入試データ
でまとめいるので、参考にしてください。東北大学薬学部
東北大学薬学部の定員は80名。
学科の振り分けタイミングは3年後期進級時です。
80名の振り分け人数は次の通り。
薬学部80名 | 薬学科20名 | 創薬科学科60名 |
学科振り分け タイミング | 3年後期 | |
振り分け方法 | 成績順に希望学科を選択できる |
6年制の薬学科に進級できるのは定員の4分の1の20名と非常に少ない人数。
学科選択時に希望をとりますが、希望人数が多い場合は成績順に学科を選択できる方式となってます。
成績上位者が4年制の創薬科学科を選択すれば、ある程度の成績までは薬学科を選択することは可能ですが、成績上位者が薬学科を希望すれば、薬学科の定員は埋まり選択することができず、6年間で薬剤師になることは出来なくなってしまいます。
東北大学薬学部の薬学科の人数は非常に少ないため、薬学部でも成績上位、確実に進路選択が可能な20位以内を目指す必要があります。
千葉大学薬学部
千葉大学薬学部の定員は90名。
学科の振り分けは3年生進級時です。
90名の振り分けは次の通り。
一般選抜前期 定員70名 | 薬学科40名 | 薬科学科30名 |
一般選抜後期 定員10名 | ー | 薬科学科10名 |
学校推薦型選抜 定員10名 | 薬学科10名 | ー |
学科振り分け タイミング | 3年進級時 | |
振り分け方法 | 成績順に希望学科を選択できる |
千葉大学薬学部の定員90名のうち、学校推薦型選抜で合格した10名は入学時に薬学科が確定。
一般選抜後期試験合格者10名は入学時に薬科学科が確定。
したがって3年生進級時に学科選択対象となるのは、一般選抜前期の70名となります。
その70名のうち6年制の薬学科を選択できるのは40名。
半数以上の学生が薬学科を選択することができます。
したがって希望通り学科を選択するためには、学年の中位以上の成績をキープしておきたいところです。
京都大学薬学部
京都大学薬学部の定員は80名。
学科の振り分けは4年生進級時です。
80名の振り分けは次の通り。
一般選抜前期 薬学部定員74名 | 薬学科12名 | 薬科学科62名 |
統合型選抜 定員3名 | ー | 薬科学科3名 |
統合型選抜 定員3名 | 薬学科3名※ | ー |
学科振り分け タイミング | 4年進級時 | |
振り分け方法 | 成績順に希望学科を選択できる |
京都大学薬学部の定員80名のうち、統合型選抜で薬学科で合格した3名、薬科学科で合格した3名は入学時に確定。
したがって4年生進級時に学科選択対象となるのは、一般選抜前期の74名となります。
その74名のうち6年制の薬学科を選択できるのは12名。
約6分の1の学生しか薬学科を選択することができません。
非常に少ない人数です。
参考までに2021年3月の第106回薬剤師国家試験を受験した京都大学薬学部の新卒生は26名。
現在薬学科に進級できるは12名となっているので、薬学科への進級者数を減らし、より研究重視の薬科学科に重きを置くようになってます。
したがって京都大学薬学部で薬学科に進級するのは、非常に難しい状況なので、薬剤師を希望している人はこの点を理解しておく必要があります。
2.理系分野全体で一括募集され進級後に学部・学科の選択を行う大学
北海道大学の一般選抜前期、東京大学の一般選抜、金沢大学の一般選抜後期は理系学部を「理系」として一括募集し、進級後に学部、学科の選択を行います。
したがって多くの「理系」進級者と競い合ったうえで、薬学科を目指すことになるので、厳しい競争となります。
北海道大学薬学部
北海道大学は一般選抜前期では理系一括募集、一般選抜後期では薬学部として薬学科、薬科学科の一括募集となってます。
一般選抜前期の理系定員は984名。
一般選抜後期の薬学部の定員は24名。
学部、学科の振り分けタイミングは2年進級時。
振り分け人数は次の通り。
一般選抜前期 理系定員984名 | 薬学科21名 | 薬科学科35名 |
一般選抜後期 薬学部定員24名 | 薬学科9名 | 薬科学科15名 |
学科振り分け タイミング | 2年進級時 | |
振り分け方法 | 成績順に希望学科を選択できる |
理系の定員984名中、6年制の薬学科に進級できるのは21名と少数。
薬学科に進級できる割合は非常に低いですが、理系全般には医学部、歯学部、獣医学部も含まれます。
そのため成績上位者が必ずしも薬学科を選択するとも限らないため、上位の成績であればあるほど進級のチャンスはあります。
また理系一括の募集であるため、他の国立大学薬学部よりも低めの偏差値で入学することは出来ます。
しかし繰り返しになりますが、薬学科の定員は少ないため、薬剤師を強く希望するのであれば注意が必要です。
北海道大学薬学部の一般選抜後期の定員は24名で、うち薬学科は9名。
こちらの方が薬学科に進級できる可能性は高いですが、その分偏差値が高くなり、厳しい競争となります。
入りやすいけど薬学科に進級しにくい一般選抜前期、入りにくいけど薬学科に進級できる可能性が高い一般選抜後期と理解してください。
他の国公立大学薬学部の定員、偏差値の情報は次の記事にまとめてますので、あわせてご覧ください。
国公立大学薬学部の偏差値・学費・薬剤師国家試験合格率・入試データ
東京大学薬学部
東京大学は一般前期で理科一類、二類、三類という形で一括募集されます。
それぞれの定員は理科一類は1,108名、理科二類は532名、理科三類は95名。
また文系の文科一類、二類、三類からも指定の単位を修得できれば薬学部に進級できます。
それぞれの定員から3年次に薬学部に進級する内訳は次の通り。
理科二類 定員532名 | 32名※1 |
理科一類・理科三類 定員1,108名、定員95名 | 16名※1 |
全科類※2 | 8名※1 |
理科全類 | 29名※3 |
合計 | 85名 |
※1:第一段階の定数。
※2:文科一類、二類、三類でも薬学部で指定された科目単位を修得できてれば、薬学部の選択可能
※3:第二段階の定数。第一段階で定数に満たされない場合は、人数が増えることもある。
薬学部の85名から、4年進級時に6年制の薬学科に進級する生徒はおおむね1割の8名~10名。
大半の学生は研究職志望のため、4年制の薬科学科に進級しその後大学院へとの流れになります。
薬剤師を目指すために東京大学を目指す、という人はかなり少ないと思われます。
金沢大学薬学部
金沢大学は前期に理科一括として81名を募集します。
そのうち薬学科(金沢大学では薬学類という名称)に進級できるのは2名。
2学年進級時に選択することになります。
ただ特別選抜10名、一般選抜前期で53名を薬学科として募集してますので、薬剤師を目指すのであれば、そちらで合格を狙う方がおすすめです。
3.国立大学の薬科学科に進学しても十分就職先はあるので安心
今回紹介した大学では、薬学科に希望してたのに、薬科学科に進級が決まってしまい薬剤師になれない事があります。
では薬科学科に進級してしまうと就職がむずかしいのか?というとそういう事はありません。
確かに薬剤師免許の取得は出来ないため、薬剤師としては働くことは出来ません。
しかし「研究職を目指すのなら薬学部4年制が最適な3つの理由」でも解説しましたが、薬学関連の研究職、薬事行政職の場合は4年制の薬科学科+大学院修士課程2年の方が就職に有利に働くことがあります。
その理由は、薬学科で行われる半年間の実務実習や、薬剤師国家試験に向けた勉強期間も研究に没頭できるため、研究スキルが上がり就職時に評価されます。
また研究職も医薬品だけでなく、化粧品、農薬、食品、衛生関連など様々な分野があります。
そのため薬科学科に進級したとしても、研究を一生懸命やれば、しっかり就職できるはずなのでご安心ください。
特に今回紹介した、北海道大学、東北大学、千葉大学、東京大学、京都大学、金沢大学は国立大学の中でも評判は高いので、就職時は有利でしょう。
ただ薬科学科4年で卒業してしまうと、就職の選択肢が狭くなってしまう恐れがあるので、4年+修士2年の方が圧倒的に有利です、
4.薬科学科に進んだあとに薬剤師になる方法
平成30年以降に4年制の薬科学科に進学した場合は、卒業後改めて6年制の薬学科に編入する必要があります。
編入タイミングに関しては、大学ごとで違いますが2年次から4年次のいずれかになります。
編入先としては、残念ながら国公立大学薬学部薬学科は編入制度はありません。
よって編入する薬学科は私立大学薬学部となります。
私立大学薬学部は学費が1年間で200万円以上かかることが多いので、学費負担、就職までの年数が多くかかってしまいます。
このことから、薬剤師を目指す、薬剤師になることを強く希望する学生は、学科振り分けが無く、薬学科で募集している国公立大学薬学部への進学を強くおすすめします。
まとめ
まとめます。
今回、「国立大学薬学部は薬剤師になれない事がある」について次の理由を上げました。
「入学後に学部、学科を選択する大学の場合、6年制の薬学科に進級することができない可能性があるため。」
この可能性がある大学は、
- 6年制の薬学科と4年制の薬科学科を「薬学部」として一括募集する
東北大学、千葉大学、京都大学、北海道大学の一般選抜後期 - 「理系学部」を一括募集し、入学後に学部・学科の振り分けを行う
東京大学、北海道大学の一般選抜前期、金沢大学の理系一括の一般選抜前期
となってます。
もし、4年制の薬科学科に進級した場合、薬剤師になるためには私立大学薬学部に編入することになり、学費負担、就職までの年数がかかってしまいます。
そのため、薬剤師になる決意、目標がある人は、入学時に6年制の薬学科が確定する他の国公立大学薬学部への進学を目指した方が良いです。
全国すべての国公立大学薬学部の募集定員、薬剤師国家試験合格率などの情報に関しては、次の記事でまとめてます。
国公立大学薬学部の偏差値・学費・薬剤師国家試験合格率・入試データ
また、もし希望叶わず4年制の薬科学科に進級してしまったとしても、4年+修士2年で卒業すると研究職等の就職は有利に働くことが多いです。
この点は次の記事にまとめてますのでそちらを参考にしてください。
最後に当サイトでは薬学部の選択のために必要な情報として、さまざまなデータを元に次の記事で情報提供を行ってます。
気になる記事をご覧いただき、ぜひとも進路選択の参考にしてください。
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