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病院薬剤師の仕事って何?薬剤部長が17個のお仕事教えます

2020年9月4日

薬剤師の仕事

アンサングシンデレラをみて病院薬剤師になりたいと思いました。

ところで病院薬剤師の仕事って何ですか?

ドラマで紹介されている仕事以外もあるんですか?

 

はてな

病院薬剤師の仕事は何ですか?

 

この疑問を解決します。

この記事の信頼性

だだの
薬剤部長

薬剤師歴22年目(2023年時点)

大学病院薬剤部13年勤務

現在は、民間病院の薬剤部長をやってます

部長歴8年

医療業界に長くいるので、裏事情までしっかり把握してます。

プロフィール

今回アンサングシンデレラで、な、なんと!

薬剤師が主役となるドラマが放送されます。

ようやく我々の仕事に陽があたるときが来ました!

やったぞぉーー!

 

すみません。

とりみだしました。

最近は薬をもらうのは病院の外の薬局がおおく、病院の薬剤師の仕事って何?と感じていると思います。

 

この記事では、アンサングシンデレラでも触れられない、病院薬剤師の仕事の全容を把握できる内容となってます。

 

なぜなら、私は薬剤師歴19年目で、大学病院でも13年勤務し、病院薬剤師のすべての業務を把握してます。

 

最後まで読むと、実は病院薬剤師はこんなにたくさんの仕事があるんだと驚きます。

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病院薬剤師の仕事って何?17個のお仕事教えます

病院薬剤師の仕事って何?薬剤部長が17個のお仕事教えます

 

一般に薬剤師の仕事って、

医者からの処方箋をみて薬を取り揃えて、

患者に薬の説明をする。

そんなイメージだと思います。

 

ただ病院薬剤師の仕事は、それだけではありません。

今回病院薬剤師が行う、係る仕事を次の17項目にまとめてます。

 

  • 調剤
  • 病棟業務
  • 注射薬調製
  • 院内製剤調製
  • がん関連
  • 重症病棟業務
  • 手術室業務
  • 薬品情報
  • 薬品管理
  • 血中濃度測定
  • 治験
  • 栄養サポート
  • 感染管理
  • その他チームでの取り組み
  • DMAT
  • 医療安全
  • システム管理

なかなかあるでしょ!

もちろん一人でやるわけでなく、それぞれ担当の薬剤師がいます。

 

それぞれの仕事をわかりやすく紹介します。

 

1.調剤

最初に調剤業務に関して簡単に説明します。

調剤業務って薬剤師法で定められている業務ですよ。

 

調剤の規定

調剤業務は、薬剤師法第19条において以下の通りに規定されてます。

 

ポイント

医師、歯科医師又は獣医師が事故の処方箋により自ら調剤するときを除き、薬剤師以外のものが、販売又は授与の目的で調剤してはならない

つまり、看護師や調剤助手や事務員が調剤することは、ダメってことです。

ただ現在は仕事を効率よく行い、もっと患者と接する時間をとれ、という方針から機械化やある程度の範囲の作業は薬剤師以外が行っても可能になってます。

 

これって業界関係では議論を読んている「0402通知」と言われるものです。

この辺の詳細は別途まとめます。

 

調剤の流れ

実際の調剤の流れはこのようになってます。

 

病院薬剤師の仕事

医師、歯科医師が作成(書いた)処方箋が、薬剤部に届きます(紙orデータ)。

 

処方箋監査

まず始めに処方箋の記載内容に問題がないか?薬の投与方法、投与量が間違っていないか?など確認します。

 

調剤

調剤には、錠剤の取り揃え、散薬の計量・分包、水薬の計量、軟膏の計量混合などがあります。

病院の場合は、入院患者が当日もしくは翌日に使用する注射薬の調剤があります。

こちらも注射処方箋にもとづき、上の流れで調剤します。

 

最終鑑査

調剤されて出来上がった内容について、今一度確認を行う作業です。

この先は患者もしくは病棟に払い出されてしまうため、間違わないように、見落としが内容に気を使います。

 

そして払い出し。

時間がかかるのは、この流れのためです。

 

2.病棟業務

病院は入院患者いますので、病棟での仕事があります。

主な仕事としては、

  • 患者に出された薬の説明
  • 副作用の確認(聞き取り&検査値確認)
  • 患者が入院するときに持ってきた薬の確認
  • 患者の状態をみて、必要と考えられる薬の提案
  • 注射薬のいれる速度、いれる量の確認

などです。

病棟業務はたくさんあるので、別途まとめます。

 

3.注射薬調製(高カロリー輸液調製)

食事がとれなくなった患者に、中心静脈(鎖骨付近の太い静脈)から高カロリーの点滴を行うことを、中心静脈栄養(TPN:Toatal Parenteral Nutrition)といいます。

最近は入院だけでなく、在宅でもこの治療が行われてます。

このTPNのための、高カロリー輸液(点滴液)の調製を行ってます。

 

こちらも処方箋監査⇒調製⇒最終鑑査の流れになります。

 

4.院内製剤調製

院内製剤とは、試薬をつかって作成する薬や、カプセル剤の中身を使って別な形の薬(例:カプセル剤⇒軟膏剤)にしたものです。

もちろんやたらめったらに作れるわけではなく、論文、学会発表等で実績があるものがほとんどです。

 

一般的に発売されている医薬品ではないので、院内製剤を使った治療を行う際には、患者の同意が必要です。

 

5.がん関連

がん関連の業務は、がん治療を行っている病院では、病院の柱となる業務(売り上げ的にも)です。

ただ現在の私の病院のように、がん治療を行っていない病院は当然この仕事はありません。

最近は入院だけでなく、外来でも抗がん剤治療をおこなってます。

 

主な仕事

  • 治療計画書(レジメン)通りの治療かの確認
  • 抗がん剤調製
  • がん治療薬の説明、副作用の確認

です。

 

レジメン通りの治療かの確認

抗がん剤は毒性、副作用がつよい薬です。

そのために正しい投与量、投与間隔で治療がおこなわれないと、死にいたる場合があります。

そのため抗がん剤治療においては、あらかじめレジメンに基づいた治療かどうかの確認が必要です。

 

 

抗がん剤調製

先ほども書いた通り、抗がん剤は毒性が強い薬なので、整った環境下で調製を行わないといけません。

また調製でミスが発生すると、治療が十分に効果がない、もしくは量が多くて重大な症状が起こる可能性があるので、調製量も厳重に確認してます。

 

この辺はアンサングシンデレラでも出てくると思います。

 

がん治療薬の説明、副作用の確認

がん治療はレジメン通りのスケジュールに沿って治療を行っていきます。

また、抗がん剤だけでなく、副作用を予防するための薬がいろいろあります。

 

その薬の説明をおこないます。

また副作用の確認、今後予想される副作用の説明も行います。

外来での抗がん剤治療が多くなってるので、この辺の説明の重要性は高まってます。

 

6.重症病棟業務

重症患者は通常の患者よりも、肝臓の機能、腎臓の機能などが落ちていたり、意識障害が発生している場合が多いです。

 

したがって使用する薬剤も、投与方法も専用のものが多くなります。

それら薬の効果、副作用のモニタリングなどが主な仕事になります。

 

7.手術室業務

手術で使う麻酔薬、麻薬の管理、準備がおもな仕事になります。

麻薬の本数が合わないと、警察ざたになってしまうので、管理の徹底が重要です。

 

8.薬品情報業務

薬品情報(DI: Drug information)に関する業務です。

ちなみにこのDI業務をおこなう部屋、担当者がいない病院では、病棟の仕事(薬剤管理指導)で診療報酬を得ることができません。

 

主な仕事は

  • 医療スタッフからの質問回答
  • 病院採用薬の情報提供
  • 採用薬の選定
  • 緊急時の情報提供
  • 重大副作用、未知の副作用報告
  • 有害事象防止・回避報告

になります。

 

医療スタッフからの質問回答

医師や看護師から薬の使い方、注射薬の投与方法(混ざると使えなくなる組み合わせがある)などの質問が来ます。

それに対して回答をします。

自分の知識で回答できない場合は、メーカーへの問い合わせ、文献検索などを行い、回答を準備します。

 

早急に回答を求められる場合もおおく、いかに急いで正確な情報収集ができるかがポイントです。

 

病院採用薬の情報提供

どんな薬が採用されたのか、使い方は?、保管方法は?などの情報提供を行います。

だいたいのDI担当者はPDFなどを作成して、院内配布してます。

 

採用薬の選定

医師から採用依頼があった薬の評価、ジェネリック医薬品の選定などを行います。

薬品選定のための院内委員会があるので、そちらに提出するための資料作成を行います。

 

緊急時の情報提供

薬は今まで知られていなかった、重大な副作用、重大な事故が発生することがあります。

そのときには厚生労働省から緊急安全性情報(イエローレター)・安全性速報(ブルーレター)が出されます。

安全性情報が出された場合は、速やかに病院スタッフに周知しないといけません。

 

 

重大な副作用の報告

重大な副作用が生じた場合は、医療機関は厚生労働省に報告する必要があります。

だいたいDI室担当薬剤師が情報を取りまとめて報告してます。

 

 

有害事象防止・回避報告

日本病院薬剤師で集めている情報。

薬剤師が関与して、患者の副作用回避、治療効果不十分などを回避もしくは軽くできた事例をプレアボイド(造語です)といいます。

年間数千件集めている。

 

 

薬剤師がこれくらい貢献してるんだっていう指標になってます。

報告は・・・めんどくさい。

 

9.薬品管理

薬品管理で行う仕事は、次の通り。

 

  • 薬の使用期限、保管方法の確認
  • 適正在庫の管理
  • 麻薬管理

です。

 

薬品の使用期限、保管方法の確認

薬には使用期限、保管方法が決められてます。

使用期限を過ぎた薬は使えませんし、保管方法が守られてないと、ダメになってしまいます。

病院にあるすべての薬が正しく保管されているか、管理する仕事です。

 

適正在庫の管理

病院にある薬は、病院の資産になります。

もし大量に在庫をかかえ、期限を切らしてしまったら、経営に大きな損害を与えてしまいます。

 

逆に少なすぎると、患者を待たせてしまったり、速やかな治療が行えないことになります。

 

その絶妙な見極めを管理してます。

 

麻薬管理

麻薬は法律で使用、管理が厳しく決められてます。

麻薬を処方できる人(麻薬施用者)は、医師、歯科医師、獣医師が麻薬施用者免許を受け取った人になります。

その麻薬施用者が2名以上になる医療施設では、麻薬管理者免許を持つ人が必要になります。

この麻薬管理免許を持てるのが、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師となってます。

 

調剤、払い出しを薬剤師が主にやっているので、麻薬管理者は薬剤師がなることがほとんどです。

 

麻薬管理者の主な仕事は、麻薬の購入、廃棄、使用確認などです。

 

 

10.血中薬物濃度モニタリング

薬が効果を示すためには、血中の薬の濃度がカギとなります。

血中の薬の濃度が少ないと十分な治療効果がない。

逆に多すぎると副作用がおこる。

これはどの薬でも当てはまります。

 

ただ薬によっては、効果が現れる濃度と副作用が現れる濃度の幅が、きわめて少ないものがあります。

そのため血中の薬の濃度を正確に把握し、使う量のシミュレーションが必要になります。

 

それが血中薬物濃度モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring :TDM)になります。

 

採血された血液を、専用の機械で測定し、その結果、投与量、患者の身長、体重、腎臓の機能などから計算して、その患者にふさわしい投与量を提案します。

 

11.治験

新しく開発された薬が有効かどうか、副作用はどうかを確認することを治験と言います。

病院で行われる治験は、最終段階で、実際に患者に投与されます。

たいていの治験は、開発された薬(実薬)と同じような効果のある薬(プラセボ)との比較試験になります。

 

ただこの比較試験の情報が公開されてしまったら、大変ですので厳重管理が必要です。

 

12.栄養サポート

栄養状態が悪いと治療効果があらわれにくく、また合併症のリスクが高まります。

栄養状態を改善するために、栄養サポートチーム(Nutrition Support Team :NST)があります。

これに薬剤師も参加することで、診療報酬が得られます。

 

主な仕事は患者に使われている、点滴薬のカロリー値の計算、電解質バランスの評価などです。

 

特定の研修が必要です。

 

13.感染管理

抗生剤が正しく使えていないと、耐性菌が発生してしまい、なかなか治療効果があらわれません。

また入院中は抵抗力が弱くなってしまっているので、院内感染が発生してしまう可能性があります。

 

抗生剤の適正使用、感染防止対策に医療チームを組んで対応してます。

 

ここにも薬剤師がかかわっています。

 

14.その他チームでの取り組み

最近取り組まれているチーム医療です。

 

認知症ケア

褥瘡(じょくそう:床ずれのこと)

リハビリ

 

これら医療チームに薬剤師が参加して、薬の情報提供などを行ってます。

 

15.DMAT

DMATとは、Disaster Medical Assistance Team の略で、主に災害時に速やかに医療を行うチームの事です。

医師、看護師、業務調整員で構成されています。

 

業務調整員は薬剤師である必要はありませんが、チームで薬を携帯する場合があるので、薬剤師が業務調整員をやっているチームが多いです。

 

DMATの詳細は別途まとめます。

 

16.医療安全

医療に薬はつきものです。

医療事故も薬が関連することが多いです。

 

そのため正しく薬が使えているか、事故が起こらないように対策がとれているかなど、医療安全のために薬剤が貢献してます。

 

17.システム管理

現在医療はシステム化されてます。

薬剤師がつかう機械などもシステム化さてます。

その設定などを行ってます。

 

まとめ:病院薬剤師の仕事ってすごく多い

では最後にまとめます。

病院薬剤師の仕事は、おおまかにいうと次の17個です。

 

  • 調剤
  • 病棟業務
  • 注射薬調製
  • 院内製剤調製
  • がん関連
  • 重症病棟業務
  • 手術室業務
  • 薬品情報
  • 薬品管理
  • 血中濃度測定
  • 治験
  • 栄養サポート
  • 感染管理
  • その他チームでの取り組み
  • DMAT
  • 医療安全
  • システム管理

 

今まで薬剤師の仕事って、薬を取り揃えて出すだけだと思っていた人が多かったと思います。

実は皆さんの想像以上に多くの仕事をやっていたと感じるのではないでしょうか?

もちろん病院の規模によっては、これら業務をすべてやることはありません。

ただ病院薬剤師は、限りある人数でいかに多くの仕事をこなし、医療に携わっています。

 

この記事を読んで、病院薬剤師への就職を考えた方は、

「病院薬剤師で働くには覚悟が必要!メリット・デメリット教えます」

もあわせてお読みください。

実は、このメリット、デメリットをしっかり把握してないと、病院薬剤師で働いた時、ギャップに悩みます。

 

またそもそも薬剤師になるためには、様々な問題点があります。

その点に関しては

【必読】薬剤師になるためには、7つの壁を乗り越えろ!

でまとめました。

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